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  • Kazuka Fujita

「北新地 湯木」様でのドリンクペアリングレポート

昨日(5/11)、懐石料理とのドリンクペアリングのコーディネート及びナビゲートを務めさせていただきました。


当日は店主 湯木様のお料理の説明に続き、簡単に飲み物の説明をさせていただきましたが、こちらではペアリングのポイントについて詳しくまとめておきたいと思います。


1. 八寸

「小豆島レモンのスカッシュ」

小豆島産の無農薬レモンを使ったレモンシロップと甘酒を合わせ炭酸で割りました。


食前酒や食事の一杯目のワインのイメージです。


レモンシロップの少し凹凸のある苦味を柔らかく包み、飲む人々の記憶にある和のテイストを誘引すべく甘酒を使いました。麹の甘さのみで砂糖不使用の甘酒を使用したことで甘みに立体感を出しました。


レモンスライスを浮かべて見た目にも爽やかなドリンクでこれからのお料理へのワクワク感の演出も考えたペアリングです。


2.お椀物

「新茶」

はまぐりの茶碗蒸しに合わせたのは今年の新茶です。鹿児島で4月15日~20日に摘まれた新茶です。この茶畑は海が見えるとても気持ちの良い山手にあります。


芽に力のあるものを選ぶという茶園の方のお言葉の通り、とても力強さのあるお茶です。

やぶきた、さえみどり、ゆたかみどりをブレンドし、深蒸し茶に仕立てられたものを今回は使わせて頂きました。

深蒸しならではの色の濃さと味のまろやかさとお茶の旨味が、茶碗蒸しのお出汁とマッチするように考えたペアリングです。


味のペアリングのみならず、はまぐりと新茶で「春」を感じられるペアリングにしました。



3.お造里

「辺塚だいだいのフローズンドリンク」

お造里に合わせたのは、冷たいグラニテ風のドリンクです。


「辺塚だいだい」とは、本土最南端の町に自生する希少な香酸かんきつ類です。苗や種は町外への持ち出しが禁止されている希少なだいだいは現地ではお酢の代用としても使われることも多く、お造里との相性ももちろん抜群です。


お刺身特有の生の香りやねっとり感をさっぱりとリセットする役割も考えたペアリングです。

辺塚だいだいの強い酸味を和らげるため無添加・無加糖のリンゴジュースで割ってまろやかにしました。ミントとエディブルフラワーを添えカクテルグラスでお出ししました。


4.焼き物と揚げ物

「烏龍茶と金萱烏龍茶のブレンド」

希少な国産烏龍茶と台湾の金萱烏龍茶をブレンドしました。


烏龍茶は半発酵茶といって、 発酵をある程度行った後に熱を加えて酸化酵素の働きを止めて作られるお茶です。緑茶と紅茶の中間といえるのですが、国産の烏龍茶は緑茶の香りや爽やかさを残している反面、みなさんが思っている烏龍茶より烏龍茶の香りが弱く、台湾の金萱烏龍茶を少量ブレンドしました。


金萱烏龍茶はミルクのような甘い香りがしますが、その香りとは対照的に後味はさっぱりしています。

烏龍茶といえば、CMでもおなじみ「油分を流す」ですが、揚げ物と鱈の西京漬けとそれぞれ違う油分をしっかり楽しめるよう、烏龍茶を合わせました。


ちなみに今回ブレンドした金萱烏龍茶は、台湾茶にこだわりを持つ香港の若い茶商から特別に仕入れたものを使用しています。


5.炊き合わせ

「べにふうきの和紅茶」

2019年の八十八夜(5月2日)に摘んで出来たばかりの和紅茶をお出ししました。


普通の紅茶より優しい和紅茶の味わいは、みりんやお醤油の和の調味料の旨味とよく調和します。和紅茶の香りと味の豊かさは、「タケノコと鶏肉の治部煮」のコクと動物性の旨味に驚くほど合います。

紅茶の色も楽しんで頂きたく(耐熱の)シャンパングラスでお出ししました。


6.御飯もの

「よもぎ・ビワの葉・黒豆のブレンド茶」

最後のペアリングはノンカフェインのブレンド茶です。


お食事の最後にほっと落ち着く、「ヨモギや黒豆の和の香り」をペアリングのキーにしました。この後の抹茶のアイスクリームとの相性も考慮しています。ヨモギ茶、黒豆茶、ビワ茶、それぞれに美味しいお茶ではありますが、単体でお出しすると私たち日本人には、なじみのある香りだけにお料理よりお茶の香りが主張してしまう可能性がありました。

ブレンドすることで「どこか懐かしい香り」という「香り」、そして、「香りの記憶」をマイルドにしました。また緑茶、ウーロン茶、紅茶と続いたこともあり、最後はノンカフェインで胃への負担を軽減する目的も担っています。


以上、6品のペアリングとその詳細です。


今回、20名の方に一斉にお出しするというオペレーションの大変さも考慮してメニューを組み立てないといけないと実感しました。

現場の方々がとても協力的で、またドリンクに対してとても興味を持って取り組んでくださり、そのご尽力のおかげで成り立ったイベントでした。この場を借りて関係者の方々にお礼を申し上げます。

ありがとうございました。


第二回のペアリングイベントは9/28、第三回は1/25 いずれも今回同様お昼の開催です。

秋のペアリング、冬のペアリングとお料理に合わせてペアリングもまた進化していけたらと思っております。



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