春が過ぎ夏に近づくと、つるんと滑らかな水羊羹が恋しくなり、つい和菓子屋さんへ行く機会が増えます。
そのたびに、ショーケースに並ぶ芸術的な練り切りに、目移り。
和菓子屋さんで出会える、花や生き物、果物などを模した、季節を表現した上生菓子の一つが、練り切りです。
味だけでなく、繊細な細工やカラフルな色合いを目で楽しめる、和菓子の代表格です。
お茶の席や和菓子屋さんで、お抹茶やお煎茶と戴くことが多いと思いますが、今回は気分を変えて、抹茶、煎茶以外のドリンクとのフードペアリング(ドリンクペアリング)をご紹介します。
ホームパーティーやちょっとしたお友達とのお茶の席で、このペアリングを出したら、ちょっと粋かもしれません。
練り切りとは
練り切りは江戸時代からの伝統的な和菓子。
和菓子の分類の中では、水分量が多い「上生菓子」にあたり、江戸時代に京都で生まれたと言われています。
練り切りは、もともと、「練り切りあん」と呼ばれていて、あん(餡)を練ったものです。
白あんに白玉粉や小麦粉などを混ぜたものを色付けして成形し、作られています。
着物の組み紐も、「日本の風景」をスケッチし、そこにある色をピックアップすることで、どこか日本らしい、落ち着く色の組み合わせができる。
とうかがったことがあります。
形もしかりですが、微妙な色加減にもこだわりを持って作られる練り切り。
奥が深いですよね。
一方で、細工や色の作りこみ方は繊細で匠の技ではありますが、材料は簡単なので、家庭でも作ることができます。 オリジナルデザインの練り切りを作ってSNSにアップしている方も多く、SNSを通じてまた、練り切りの美しさが見直されています。
外国人にも人気!
練り切りは、実は外国人にも人気です。
調査によると、 訪日外国人が、食べてみたいお菓子の上位に、練り切りが入っているとか。 言葉がわからなくても、見ただけで通じる形や、カラフルな色合いなど、アートな要素が多い練り切り。 外国の方にも興味を持っていただけるのかもしれません。
京都や鎌倉では英語OKの「練り切り」の体験コースもあるそうで、その人気のほどがうかがえますね。 私も実は体験したことがあるのですが、技量とは関係なく、作る人によって同じ花でも雰囲気が異なり、初対面の方々とも見せ合ったり褒めあったりして、とても楽しいひと時でした。
練り切りと和紅茶のドリンクペアリング
そんな和の心が詰まった練り切りと、今回はあえて、お抹茶やお煎茶ではなく和紅茶とのドリンクペアリングをご提案します。
和紅茶というのは日本で栽培された茶葉を日本で加工した紅茶です。
和紅茶というと「やさしい味」などと表現されることが多いのですが、和紅茶にも優しい味のもの、心地よい渋みがあるもの、さまざまです。
海外の紅茶のように大きな会社が、広い農園や人々をきちんと管理し、安定した美味しい紅茶を供給するという性質とは異なるがゆえに、農家さんの想いや各地の天候などの個性が紅茶に現れる、そこが楽しいのが和紅茶です。
とはいえ、日本人が、日本の土壌で作ったお茶はどこかホッとする味がする、と私個人は思います。
渋みが強い和紅茶でも、香りが華やかな和紅茶でも、土壌の記憶なのか、はたまた日本人にどこか共通する好みなのか、どこか落ち着くような懐かしいような味わいがするのが和紅茶です。
そんな味わいの和紅茶と和菓子の練り切り。
和菓子に使われている上白糖はコクのある甘み、さらに餡があると、上白糖特有のこっくりとした甘みが強いのが練り切りです。
そんな甘みに合うのは和紅茶の中でも、茶葉の甘みが特徴的な「べにふうき」がおすすめです。ボディーがしっかりしているので練り切りの甘さに揺るがない安心感があります。
ちょっと華やかさがあり、しかしながら主張はしすぎない、香りの爽やかな「べにひかり」もおすすめです。
日本の紅茶と日本の菓子。
ステキなペアリングの時間を☆
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